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1. 弥勒菩薩浄土 人が、その死後に生まれ変わる理想社会としての浄土という思想は、言葉は異なれど、すべての宗教に共通するもののようである。さて、このタンカの浄土は兜率天と呼ばれ、釈迦入滅後、五十六億七千万年後に、この地上に現れるとされている未来仏、弥勒菩薩が中央玉座上に座し、その両脇には、チベット仏教の隆興に多大な貢献をなしたインド人学者アティーシャと、ゲルク派の始祖ツォンカパが描かれている。この二人は、その死後、各々兜率天に生まれ変わったと、チベット人の間では信じられている。